マネキネコ（ゲームレビュー）

スキトキメキトキス　ver.R.1.0

サイト名：スキトキメキトキス
制作：Tatewaki & Nagatsuki
ジャンル：陥れ系百合ＡＤＶ（プレイ推奨年齢：12歳以上）


『あいしています　でもにくたらしいんです』


病院で目覚めた主人公、明菜。そこに現れたのは菜穂と名乗る美少女。

姉妹のように仲良しだったという２人。

しかし記憶を失った明菜が最初に感じたものは……『不快感』

裏切り、別離、２人だけの約束……

記憶の糸の示す先にあるものは一体なんなのか。


彼女の笑顔の裏にある真実とは。



陥れるか、陥れられるか。２人の攻防戦が今、始まる……


（制作サイトより引用）

一見、とても可愛らしいタイトル画面。しかし、「Love」の中に隠れている言葉は…

なぜ記憶を失った明菜は、菜穂に対してこんなにも嫌悪感を抱くのか？


先月の記事より、だいぶ間が空いてしまいました……。

あのダーク百合ゲーとして名高い、「スキトキメキトキス」のリメイク版とのことで、喜び勇んでプレイ→そしてフルコンプしてきました！


リメイク版における、前バージョンとの相違点をざっとまとめると…

・立ち絵グラフィックが一新、新規スチル＆別視点シナリオの追加
・新キャラが登場したことで、事件の背景が分かりやすくなった
・攻略の難易度は変わらず（選択肢が一緒）

…こんな感じでしょうか。

以下、ネタバレ含む感想です。

[4回]

シナリオの面白さは変わらずに、純粋にゲームとしてのクォリティを上げたリメイク版。ほとんどのグラフィックが、新しいものに変更されていたのには驚きました。
明菜はより活発そうな見た目に、そして菜穂はより可憐な美少女になっていてイイですね～。

こんなにもカワイイ黒髪美少女に（精神的にも物理的にも）追いつめられてしまうかと思うと…ゾクゾクしますね。（ヒドい感想）


ちょっと一言、言わせてもらうとするならば、このゲームに「甘酸っぱい恋愛」要素は一切含まれておりません。あるのは、ただただ相手の深みに嵌っていくしかない現実についての、苦い諦念だけです。
[一見とても幸せそうなED3も…END名の意味からして不穏さが漂っています。]

カーソルを合わせると血が跳ねるアイコン、「好感度」ならぬ「陥れ度」を上げる選択肢、ピンクの♡が飛ぶメニュー＆メッセージウィンドウに似つかわしくない程「黒さ」が滲みでているモノローグ……。

もうこの時点でほとんどの方は気付くと思いますが、そうです、普通の百合ゲームじゃないんですコレ。


普通の恋愛ADVでは、多くの主人公は大抵ゼロからの出発で、相手と想いが通じ合ってゴールするまでの出来事を描くことが主になっていると思うのですが…。

本作に限ってはそういう風にはならず、もともとはMAXだったはずの好感度が激しく落ち込み、マイナスまで振り切った状態からスタートしなければなりません。


事故に遭ったことで記憶喪失状態になった主人公・明菜は、意識を取り戻した直後、目の前に現れた美少女・菜穂に対してなぜか激しい嫌悪感を抱きます。

訳の分からない不快感を覚えつつも、菜穂の思惑を出し抜こうとする明菜。
幼い言動の中にもほのかに狂気を潜ませ、粘っこい執念を明菜に対して向けている菜穂。

明菜の抜け落ちた記憶には、一体何があるのか。果たして二人は元の関係に戻れるのか……それはプレイヤーの選択次第です。

（というか、一般人が本物の狂人にかなうわけがないんや……）


運命的な恋、なのにお互いを傷つけて傷つけあって。
憎いのに離れられない、甘いのにたまらなく苦い。
そんな歪んだ恋模様を描ききった、ダークな百合ストーリーでした。

女の子同士のヤンデレが好き！という方に特にオススメです。